日本の医療制度の特徴は、いつでも誰でも平等に医療を受けられる点にあります。国民だけでなく、日本に3か月以上滞在する人全員が公的医療保険に加入しており、みんなの保険料による助け合いで、医療制度が支えられています。これを国民皆保険制度と呼びます。また健康保険証があれば、患者は医療機関を自由に選べ、診療や薬の給付など、どんな人も平等にサービスを享受できます。日本のように、国民皆保険制度や患者が自由に医療機関を選べる制度がある国は世界的にも珍しいといえます。
健康保険証があれば、医療費の自己負担は、70歳未満なら原則として3割です。しかし医療費の1か月の負担が高額になった場合には、一定額を超えた金額を支給する高額療養費制度があります。例えば、1か月の医療費が100万円かかったとしたら、本来の自己負担は3割の30万円となりますが、高額療養費制度の適用で、実際の自己負担は8万7430円となるといった具合です。1か月の自己負担額の上限は、年齢や所得によって異なります。
さらに、母子健康手帳も日本独自の制度です。妊婦が居住する市町村に「妊娠届」を提出すれば交付されます。妊娠中から出産を経て子どもが6歳になるまで、母子の健康をサポートするための手帳で、妊婦健康診査や乳幼児健康診査などの母子保健サービスや予防接種などの状況を記録します。母子健康手帳があれば、妊婦医療費補助制度など、自治体の支援制度を利用できます。最近では、日本の母子健康手帳が発展途上国に導入され、乳幼児死亡率の低下に寄与しています。